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青森地方裁判所 昭和62年(わ)55号 判決 1987年8月05日

(被告会社)

本店所在地

青森県上北郡天間林村大字天間舘字猪ノ鼻九七番地二七

株式会社工藤組

(代表者 代表取締役 工藤久美子)

(被告人)

本籍

青森県上北郡天間林村大字天間舘字舟場向川久保三六五番地

住居

右同所

会社役員

工藤チセ

昭和四年八月二八日生

主文

被告会社株式会社工藤組を罰金一、六〇〇万円に、被告人工藤チセを懲役一年にそれぞれ処する。

被告人工藤チセに対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社株式会社工藤組は、青森県上北郡天間林村大字天間舘字猪ノ鼻九七番地二七に本店を置き、土木建築工事請負業を営むもの、被告人工藤チセは、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人工藤チセは、被告会社の業務に関し、法人税法を免れようと企て、労務費等の水増し計上をするなどの不正な方法により所得を秘匿した上

第一  被告会社の昭和五八年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際所得金額が一億二、五八七万三、八二二円で、これに対する法人税額が五、一一九万六、九〇〇円であるにもかかわらず、昭和五九年二月一〇日、青森県十和田市西三番町一番三四号所在の十和田税務署において、同税務署長に対し、その所得金額は六、七八九万五〇八円で、これに対する法人税額が二、六八五万七、〇〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により前記正当税額との差額二、四三三万九、九〇〇円を免れ

第二  被告会社の昭和五九年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際所得金額が一億五、五三八万三三円で、これに対する法人税額が六、五四三万四、九〇〇円であるにもかかわらず、昭和六〇年二月一日、前記十和田税務署において、同税務署長に対し、その所得金額は一億五九五万五、七三八円で、これに対する法人税額が四、四〇四万一、一〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により前記正当税額との差額二、一三九万三、八〇〇円を免れ

第三  被告会社の昭和六〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における実際所得金額が六、四四五万一、九五五円で、これに対する法人税額が二、六三五万二〇〇円であるにもかかわらず、昭和六一年二月四日、前記十和田税務署において、同税務署長に対し、その所得金額は一、四九五万九五九円で、これに対する法人税額が四九六万五、六〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により前記正当税額との差額二、一三八万四、六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告会社代表者工藤久美子の当公判廷における供述

一、被告人工藤チセの当公判廷における供述、検察官に対する供述調書、大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、被告人工藤チセ作成の各上申書

一、附田美重子、山崎政光、岩舘繁夫、四戸芳美の検察官に対する各供述調書、大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、工藤省三、澤田清藏、外井えり子、新山富子、森谷功、中村栄吉、音道登一、三浦力、日高正子、葛西秀孝、天間一男、松田隆、太田武幸、吉田勝實、新松正博、清水允の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、中村栄吉、三浦力、音道登一、松田隆作成の各上申書

一、大蔵事務官作成の告発書、脱税額計算書説明資料、各調査書(材料費、外注費、労務費、減価償却費、賃借料、租税公課、寄付金の損金不算入額、野辺地地区生コンクリート(協)取引)

一、国税査察官作成の写真撮影報告書

一、被告会社の各登記簿謄本

一、検察事務官作成の電話聴取書

一、押収してある総勘定元帳三冊、賃金台帳六冊、法人税確定申告書四綴、ダイアリー三冊、ノート一冊、見積書等綴一冊、プランメモ一綴(昭和六二年押第一三号の一ないし一九)

(法令の適用)

被告会社につき

一、判示各所為

各法人税法一五九条一項、二項、一六四条一項

一、併合罪処理

刑法四五条前段、四八条二項

被告人につき

一、判示各所為

各法人税法一五九条一項(所定刑中各懲役刑選択)

一、併合罪処理

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第一の罪の刑に法廷の加重)

一、執行猶予

同法二五条一項

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 栗原宏武)

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